★★ 記 事 ★★ 

横浜家庭裁判所から書類が届いたら

横浜家庭裁判所から書類・手紙が届いた場合,それは調停期日の通知です。

今回は相続の調停について,相手方の立場での対応を説明します。

1.期日への出席

2.弁護士をつけるかどうか

3.調停期日の進行

4.注意点

5.今,やるべきこと

1.期日への出席

 第1回期日は,こちらの予定も聞かずに日時が指定されますので,欠席しても怒られません。しかし,第2回期日には出席できるようにしましょう。

 横浜家庭裁判所の調停期日は,たとえば調停1係であれば,調停期日は月曜日と木曜日などと決められているので,横浜家庭裁判所に電話をして,曜日を聞き,第1回期日の1か月から2か月後くらいのその曜日で,出席できる日をいくつか伝えるのがよいでしょう。

2.弁護士をつけるかどうか

 「自分は遺産はいらない」などという場合は,弁護士をつける必要は全くありません。

 しかし,①他の相続人と公平に分けたいなどの希望がある場合で,②争いが法律的な事柄で,③争いの金額が弁護士の費用を出しても経済的に見合う,のであれば,弁護士を付けた方がよいです。

3.調停期日の進行

 調停室の中には男女各一人の調停委員さんがいます。調停の節目には裁判官である3人目の調停委員が加わります。

 その調停室に対立する相続人のグループごとに交互に入ります。相続人のグルーブは通常2グループが多いですが,3グループになることもあります。

 ほとんどが遺産分割の話合いです。

4.注意点

 遺産の前提問題と言われる遺産の範囲や相続人の範囲に争いがある場合は注意です。これらの問題は地方裁判所で判断されるものだからです。これらの問題について,家庭裁判所の遺産分割調停・遺産分割審判内での解決を目指すかどうかは,次のように分類して考えるべきです。

 遺産の前提問題について家庭裁判所が判断できないもの(A),遺産の前提問題について家庭裁判所が判断でき,しかも自分に有利に判断されそうなもの(B),遺産の前提問題について家庭裁判所が判断できるが,自分に不利に判断されそうなもの(C)に分類する。Aは協議離婚の取消し,認知無効,嫡出否認の訴え,父を定める訴え,相続人の廃除など。Bは遺産の範囲の問題で,自分が古くから保管している金融資産について他の相続人が根拠なく「死んだ人のものだ」と主張しているようなケース。Cは遺産の範囲の問題で,他の相続人の登記名義になっている不動産について,自分が「それは死んだ人のものだ」と主張するケース。なお,胎児がいるケースは胎児の出生を待ちながら,調停を続けてもよいだろう。

 ACは調停を止めてもらって訴訟すべきである。Bはそのまま調停をつづけてもよいだろう。

5.今,やるべきこと

 どういうことが争いになるのかを判断あるいは予測し,前記の2.や4.の考えを固めるべきである。

 申立人はある程度しっかり準備して申立てをしている。横浜家庭裁判所からいきなり書類が届いたあなたは,申立人に対して準備不足であることが明らか。今すぐ始めるべし。

どこの弁護士に依頼するか?

記事の要約 “

亡くなった親など被相続人が遠方に住んでいた場合,その住所地の家庭裁判所(管轄家庭裁判所)で,相続の事件が持ち込まれることが多い。

相続人は,自分の住所地の弁護士に依頼すべきか,裁判所のある土地の弁護士に依頼すべきか

経済的な負担を考えると裁判所の土地の弁護士に依頼すべきである。 

具体的なケース

 たとえば,あなたが青森,北海道とか福岡,九州とかに住んでいて,親やあなたの兄弟が神奈川県内に住んでいるとする。そうすると相続の調停や審判(遺産分割調停・遺産分割審判)は横浜家庭裁判所で開かれる可能性が高い。

 横浜市内であれば,横浜家庭裁判所,川崎市であれば,横浜家庭裁判所川崎支部,相模原市であれば,横浜家庭裁判所相模原支部,小田原であれば,横浜家庭裁判所小田原支部である。

どこで頼むかで費用がぜんぜん違う

 あなたがあなたの住所地の弁護士に頼んだとするとその弁護士は遠方から新幹線や飛行機を利用して横浜家庭裁判所に出廷することになる。そうすると一日仕事であり,一期日あたり日当10万円は覚悟しなければならない。交通費もばかにならない。経済的には不利である。午前中の期日に出頭することもまず無理。泊りがけになってしまう。

 地元の弁護士に頼むメリットは面談打合せが容易にできるという点であり,この点を重視するならよいが,通常は費用負担が重い。

打合せの手段は多い

 まして,現代社会,メール,電話,ライン,手紙などで遠方の弁護士との意思疎通はそれほど苦にならない。面談打合せも必要であろうが,面談打合せの回数はそれ程多くなく,あなたが観光を兼ねて弁護士事務所に出張すればよいことである。

結 論 !!

 とすれば,事件を取り扱っている(事件が係属している)家庭裁判所の近くの弁護士に依頼した方がよいということになるのだ。

相続人の確定

相続人はまず二つに分けて考える

一つは配偶者

ちなみに日本では一夫多妻,多夫一妻は認められていないので,配偶者は一人いるかいないかです。
内縁の配偶者は相続人としての配偶者に入りません。

もう一つは血縁関係

父母・子供・兄弟などです。
血縁関係と言っても,親・子供は養親・養子を含みます。
この血縁関係は相続の順位が決まっていて,先順位がいれば,後順位は(相続の放棄がなければ)相続人となりません。

血縁関係の順位

第一順位は子供。
第二順位は直系尊属。
第三順位は兄弟姉妹。

全て,被相続人が死んだ時点で判断します。
子供は死んでいても孫・ひ孫が子供の代わりに相続人になります。
また,直系尊属も両親だけではないので注意。子供も親もいないが,祖母と兄弟がいる人の場合,先順位は祖母ですので,祖母が相続人となります。
兄弟姉妹は死んでいてもその子供が相続人になります。兄弟姉妹もその子供も死んでいる場合,兄弟姉妹の孫は相続人となりません。

法定相続分

配偶者がいない場合

先順位が相続人。先順位が複数いる時は人数で割ったものが相続分になるが,代襲相続は被代襲者を一人として計算(株分け計算)。

配偶者がいる場合

配偶者と子供の場合はそれぞれ2分の1。昭和55年以前に亡くなっていれば配偶者が3分の1,子供が3分の2。
配偶者と直系尊属の場合は配偶者3分の2,直系尊属3分の1。昭和55年以前に亡くなっていれば配偶者が2分の1,直系尊属が2分の1。
配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者4分の3,兄弟姉妹4分の1。昭和55年以前に亡くなっていれば配偶者3分の2,兄弟姉妹3分の1。

まずは戸籍で判断

比較的年少でも生殖能力があることがあるので,被相続人の生まれてから死ぬまでの戸籍を取ります。
まだ戦前の旧戸籍制度時代に生まれた人が生きているので,そのような人が被相続人の場合は,「戸主」などと書かれた戸籍が必要になります。
戦争,空襲で焼失し,取れないこともあります。通常は焼失して発行できない旨の役所の証明書で事足ります。
ごくまれですが,戸籍上,知られていない子供がいたり,知らない子供を認知していたり,することが判明するケースもあります。

注意 戸籍だけ調べても相続人調査として万全ではない

1 戸籍調査は必要であるが十分ではない

相続人は戸籍が基準となるのではない。
戸籍上他人でも,実の肉親であれば,立派な相続人。但し,肉親であるかどうかは争いにはなる。
焼き場に行く前に,「形見代わり」と言って,さりげなくDNAを採取しておいてください。

2 胎児も相続人となる

民法886条(相続に関する胎児の権利能力)
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
遊び好きな爺ちゃんの葬儀に,喪服を着ておきながら顔と髪は喪に服していないのが明らかなケバイ女が現れ,不遜な態度で大きいお腹を誇示しながら,焼香しにきたら,ドラマのような事件になります。

3 遺言での認知

民法第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
遺言で認知している遺言で認知しているかもしれない。遺言で認知された人は相続人になります。

4 養子縁組などの無効

極端な例としては,被相続人に無断で養子縁組届がされているかもしれません。当然,養子縁組は無効。

最後に

頭がクラクラしてきませんか?
自分の人生がごく平凡に思えてきます。
「争族」って,うまいこというものですね・・・
頭も心もお疲れさまでした。今日はこのくらいにしましょう。

弁護士が喜ぶ相続の相談のしかた

相談料支払って,その上,喜ばせるとは何事!!

お怒り,ごもっとも。
こう考えたらどうでしょう。弁護士は「トリュフを探す豚である」と・・・
この豚のレンタル料はそこそこ高いです。
そこそこ高いレンタル料を払う以上,しっかりトリュフを探してくれないと困ります。
トリュフを探させるために豚が力を発揮するようにしましょう。
つまり,相談料を払う以上,求めるべきよいアドバイスを弁護士から引き出すようにした方が得だ,ということです。

たぶん全ての弁護士にあてはまる

と思うのですが,お客さんの話を聞きつつ,いろいろ関連事項を頭で考えています。
他のことを考えずに,話だけに集中して聞いてほしいというのはわかりますが,それをやると,極端な話,今は集中して聞きますが,回答はその後考えるので後日になります,みたいなことになります。これは極端としても普通の相談時間の倍はかかるのではないでしょうか。
いずれにしても弁護士には相談を聞きながら,関連事項を考えてもらうことになります。

聞く労力を軽くする

「○○さんはこれこれこういう人で,□□の年に△△をやって・・・
その弟に☆☆さんという人がいて,その人はうちのお父さんと同じ趣味をもっていたんだけど,両親からかわいがられて,××の仕事で・・・・」という説明はマズい。
弁護士の回答として「あらそう,大変ね~~」で済むならそういう話し方でよいのですが・・・・
関連事項・法律的なことを考えさせながら,話を聞かせるのですから,聞く方の労力を軽くする話し方をしてください。

枠組みを話す,相続なら・・・

まず,被相続人,つまり死んだ人

死んだ人の名前,性別,死亡日,住所・・・
なお,固有名詞の使用は話の誤解を回避するために有用と私は思います。「その人」「この人」と言った場合,話す人と聞く人で別の人を指してると考えるかもしれません。「太郎さん」「花子さん」なら,そのようなことはありません。

その次に関係者です

配偶者,子供,両親,兄弟姉妹などです。

次に遺言の有無です

できればどこまで調べたかもさらりと説明しましょう。
なお,遺言があるとする場合,遺言無効がありえるので,遺言の時期とそのときの被相続人の判断能力も一応問題になる。また,より新しい遺言が出てくれば古い遺言は効力が制限される。

最後に遺産の内容です

現金,預金,不動産,株式など・・・
会社経営者であれば,会社の資産も問題になるかもしれません。

念のため

生前贈与も聞きます。

・・・とここまで来てから,いよいよお悩みの内容に入ります。

話すばかりでなく,質問もよく聞く

弁護士が,回答するにあたり,情報が不足していることがあります。そのため,弁護士は大抵質問をします。
情報不足の他,弁護士は複数質問して疑問点を解明したり,事案の焦点を絞ったりします,
質問の途中で別のことを相談者の方が話し始めたり,質問に答えてくれないことも多いです。そういうときは「長時間になるのではないか」「大切な相談料が無駄になるのではないか」と相談時間の経過が気になり始めます。時間限定の無料相談の場合,尻切れトンボを覚悟することもあります。
しかし,そういうときに出る話こそ相談者の方が一番言いたいことではあるでしょうから,難しいところです。

まとめ

以上のように,枠組みから話をすると,まず必須情報の漏れがなくなりますし,付加的な話についても弁護士の頭に入りやすく,
短時間でも的確なアドバイスが得られる可能性が俄然高くなります。

「○○と弁護士は使いよう」ですね!